6,12月20日 日曜日 0時58分 金沢市北部

6.mp3 金沢市北部の学生街。表通りから少し裏に入ったところにアパートが何棟か建っている。この中に築8年、地上二階建て、1LDKの部屋が各階にそれぞれ二室ずつ用意されているアパートがある。佐竹は代行運転を利用して自分のアパートまでたどり着き、二階にある自分の部屋に向かって階段を登った。 先ほどまで佐竹は勤務先である金沢銀行駅前支店の後輩の結婚式に参加していた。二次会にも参加し、その酒量はかなりのものだったが彼の足取りはしっかりとしていた。 自分の部屋のドアに設置された郵便受けには新聞紙が突き刺さったままだった。鍵を開け部屋に入り佐竹はそれを抜き取った。特別なことではない。いつものことだ。これから時間があれば復習のために新聞を読む。時間がなければゴミ。基本的に情報は勤務先の新聞かネットで入手できる。そう考えると特に新聞も必要がないのだが、一応社会人としてのたしなみとして購読しているに過ぎない。必要性をあえて挙げるならば、死亡欄で得意先に不幸が無いかの情報を得ることぐらいだった。 部屋の電気をつけると極端に物の少ない彼の部屋が明らかになった。白い壁にかけられた時計の時刻は1時を回ろうとしていた。佐竹は手に持っていた新聞紙と携帯電話をテーブルの上に置いて纏っていたコートを脱ぎ、キッチンでコップ一杯の水を一気に飲み干した。冬の水道水は凍てつく冷たさで、少々の頭痛を覚える。 「36だってのに俺は…。」 誰に言う訳でもなく自然と言葉が出た。と、同時にため息が出た。 スーツを脱ぎ、いつで…

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