11,12月20日 日曜日 10時10分 佐竹宅

11.mp3 ―どれもこれも景気の悪い話ばかりだな。 広げた新聞には世の中に対する悲観論が充満していた。 今度の内閣人事に関する分析と課題についてばっさりと斬り捨てられた政治面。 デフレによる景気後退。それに伴う消費の低迷はますます深刻さを極めつつあるとする経済面。 所得や雇用の格差に関する社説。 親が子供を殺したという殺人事件が大きな枠を占領している社会面。 この世は救われることのない、苦しみばかりの地獄であると言わんばかりの紙面だ。 地獄の原因は政策の失敗であるそうだ。現政権を打倒することが唯一の問題解決方法らしい。 だが、現政権を打倒してどのような舵取りを期待するのか。 野党から具体的な政策提言はなにもない。 とにかく現状をぶっ壊せば何か良くなる。 こんな論調が新聞紙上にも世の中にも蔓延していた。 ―こんな新聞毎日読んでいたら頭が変になる。 そう思って佐竹はそれをしまい、テレビに目をやった。チャンネルは先ほどと変わらない。 テレビではアイススケートの大会で優勝した選手のそれまでの軌跡やプライベートの様子を解説つきで伝えていた。しかし突然画面が切り替わってメインキャスターが映し出された。 「えー先ほどの金沢で起こった殺人事件について、新しい情報が入ったようなので現場から中継でお伝えします。」 画面が切り替わり、先ほど中継で出演していた記者がマイクとノートを持ってこちらに向かって立っていた。彼の背後には…

続きを読む