17,12月20日 日曜日 11時25分 喫茶「ドミノ」

17.2.mp3 一時期金沢にはカフェと呼ばれる社交場が乱立した。 この手の店は、ぶらりと気軽に立ち寄れる場所はあまり多くない。洒落てこぎれいな雰囲気のものが多く、選ばれし意識の高い人種であることが条件として課せられる。 その中においてひとりでくつろげて、誰かを待つのに持ってこいであるのはやはり純喫茶だ。 客層の嗜好をしっかりと捉えた新聞や雑誌、マンガ等が豊富であり、それなりの年齢の世代が集う。店で交わされる会話も良い。何より自分だけの世界を作れることが純喫茶の魅力でもある。 アサフスから犀川を渡った旭町の純喫茶「ドミノ」に佐竹はいた。 店主以外誰もいない店の中で、彼は一番奥のテーブル席に座り雑誌に目を落としていた。 店の外で車のドアが閉められる音が聞こえた。 それから20秒後にドアが開かれ赤松が店内に入ってきた。 赤松はカウンターに立つ店主にコーヒーを注文し、そのまま佐竹の正面に座った。 すぐに店員がおしぼりと水を持ってきた。赤松は湯気の出るそれで手を拭き、続いてしっかりと顔を拭いた。 「あのさ、お前どう思う。」 佐竹は切り出した。 顔を拭いていたおしぼりを丁寧にたたんで赤松はうつむいたまま答えた。 「ふぅ…信じられんよ…。本当に。」 赤松は「それに」と付け加えて話し続けた。 「今、報道されとる被害者の女の子おるやろ。」 「おう。」 「あの子実は昔ウチでバイトしとった女の子ねんわ。」 「えっ…。」 「何が何だかさっぱ…

続きを読む