38,12月20日 日曜日 18時32分 古田宅

38.mp3 「鍋島惇。」 「まさか。なんでここであいつが出てくるんや。」 「ふっ、なんでって、しゃあねぇやろ。高校時代の同級生やからな。しかも奴さんは高校時代の戦友と来たもんや。繋がってしまったからにはどうしようもない。」 「でも、この鍋島は熨子山のヤマと関係あるんか。」 「さぁ、それは分からん。そいつはこれからの捜査次第で関係性が出てくるかもしれんし、まったく関係がないかもしれん。とにかく、一色の周辺を洗っとったらこんなもんが出てきましたってことや。」 「トシさん…あんた情報集めてくるのは良いんやけど、頭こんがらがってこんか。」 「だら、これが仕事やろいや。」 4年前、金沢市内のとある私立病院をめぐって横領事件が発生した。 経理担当の病院職員が診療報酬を水増しして国に請求し、その差額分を横領するというものだった。 この捜査にあたっていたのが古田であった。被疑者である病院職員はすぐさま逮捕されたが、その使徒がなかなか判明しなかった。当初はギャンブルですったとか、散財したとかその男は話していたが、裏が取れなかった。古田のスッポン捜査で被疑者の周辺を虱潰しにあたっても彼が散財した形跡を見つけることはできなかった。 そこで疑念を抱いたのが当時捜査二課課長として赴任してきて早々の一色だった。 現金だけが領収書もレシートも目撃者も無く跡形もなく消えている。しかもその横領金額は5億円。何回かに分けて横領されていたことはわかるが、忽然とその大金が消えていることが腑に落ち…

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