41,12月20日 日曜日 21時12分 中華料理 談我

41.mp3 金沢のオフィス街南町。その裏通りから一本横に逸れた場所に談我はあった。 このあたりは金沢の金融機関が軒を並べており、談我はこれらの業界関係者の御用達となっていた。 創業20年。外観は古ぼけたよくある近所の中華料理屋の体であるが、その客足は途絶えたことはない。 日中はこの南町を本拠とし、金融機関たちは鎬を削る競争を繰り広げている。 しかしそれは食を楽しみ、酒を飲む場である談我においては関係がなくなる。 背広という戦闘服を纏った男達が日中の気忙しさから解放され、身も心も開放的になり同業同士の情報交換を行う場所として談我は利用されていた。 しかし今日は日曜日。金融関係者の姿は見受けられなかった。 「マスター、もう一本もらえる。」 店のカウンター席に座り店主と向い合って、銚子の首の部分を指でつまんで、ぶらぶらとさせている男がいた。 「村上さん、どうしたんですか。」 「あん?」 「そんなに飲める口でしたっけ?」 そう言いながらも店主は熱燗の準備をしている。 「あのねぇ…俺だって飲まなきゃやってられんのよ…。」 「大丈夫ですか。ろれつが回ってないですよ。」 「ああ、そう。」 ここの名物である餃子に箸をつけて村上はそれを頬張った。 「はい熱燗。」 「ったくよぉ。なんだってんだよぉ。外野がぐちゃぐちゃ言ってんじゃねーよ。」 「仕事のことですか。」 「マスターには関係ない。あんたは立派だ。20年もこの店を切り盛りしとる。」 …

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