44,12月21日 月曜日 8時45分 県警本部駐車場

44.mp3 「よし勤務先と住所は抑えた。」 そう言うと車に乗り込み、エンジンをかけた片倉は手にしていたスマートフォンを胸元にしまいこんだ。 「便利やなぁ。」 「トシさん、もう紙を持ち歩く時代は終わったんやぞ。」 「ほうか、ワシはいつまでたってもメモ帳や。ちょっとそれ見せぇや。」 「何や。」 「それ、ここに書き写す。」 片倉と古田は、佐竹、赤松、村上の三名の住所と勤務先を仕入れて県警本部の401資料室からそそくさと出た。その際に片倉は書き写していると時間がかかると言って、つい最近手に入れたスマートフォンのカメラでそれらの情報を撮影し、そこに保存した。古田は片倉から手渡されたスマートフォンを慣れない手つきで操作しながら、その情報を愛用のメモ帳に書き写した。 「先ずはどこから行く。」 「兵は神速を尊ぶ。ほやから別々にあたらんか。」 「おう。」 「ワシはこの佐竹と赤松っちゅう奴を当たる。お前は村上を当たってくれんか。」 「わかった。」 「ワシは自分の車を使う。お前もあんまり不在の時間が多いと怪しまれるから、その辺りは注意せいや。」 「じゃあ、先ずはトシさんを一旦家まで送るとするか。」 片倉はサイドブレーキを下ろしてアクセルを踏み込んだ。 「金沢銀行金沢駅前支店か。ワシの家の近くやな。」 「誰がや。」 「佐竹や。」 「あれか。剣道部のムードメーカー的な存在やったって奴か。」 「そうや。とある組織の潤滑油。この手のポジションにある奴がだい…

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