46,12月21日 月曜日 9時05分 金沢銀行金沢駅前支店

46.mp3 今年も余すところ少しとなり、金沢銀行金沢駅前支店の週明け月曜日は朝から混雑していた。 クリスマス向けの現金引き出しで来店する個人客もいれば、年末の差し迫った資金繰りの悩みを抱えてくる企業の経理担当者もいる。時間的なもの、金銭的なもの、多種多様であるが皆一様に余裕が無い。 どうしてこうも日本の年末というのは気忙しいのだろうか。 古田はその落ち着きのない店内に入るやその周囲を見渡した。佐竹康之がここにいるかを探るためだった。 「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか。」 店内の隅から隅まで見渡している古田を見て、フロアに立っていた女性行員が声をかけた。 現金の入出金や振込はATMで済ませることができる。銀行側にとってはそれを利用してもらうほうが、単純作業だけを行う人員の削減につながる。人と人が顔を合わせて生まれるコミュニケーションもあろうが、そのコミュニケーションは時としてトラブルを招く要因ともなる。単なるオペレーションであるならば人がそれをする必要はない。機械の方が人と比べてより正確で迅速だ。そのため銀行ではこの手のフロアレディがよく立っている。彼女らは手取り足取り機械操作が不得手な連中を相手に、それを教授する。 機械の操作が不得手な老年層にとってはこれは苦行のようなものかもしれない。せっかく自分の資産を預けているのに、それを引き出すたびにわざわざ苦手なものと対峙せねばならないというのか。 「あのー佐竹さんに用事があってきたんやけど。」 「代理…

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