49,3年前 8月3日 水曜日 15時13分 フラワーショップアサフス

49.mp3 文子は固唾を呑んだ。 「忠志さんは知ってしまったんです。指定暴力団の仁熊会が公共事業に関する用地取得に深く関わっていることを。それもこの開発目覚しい田上地区に関する用地取得。そしてこれから本格着工される北陸新幹線沿線の用地取得についてです。用地取得にありがちな不正は、地権者が取得者に対して賄賂を送って、その査定に便宜を図るよう依頼するというものです。これだけなら話は簡単です。」 彼女はだまって眼鏡の奥に光る一色の目を見ている。 「忠志さんが知ったのは用地取得に関する複雑な構造だったのです。」 すると一色は自分にお茶うけとして出された3つの最中を文子の前に横一列に並べた。 「左から順番にマルホン建設。仁熊会。そして国としましょう。」 「国の用地取得での当事者における関心事は2つ。ひとつはその承知取得そのものの実施、そしてもうひとつがどの土地が取得対象になるのかということです。そこでまずこのマルホン建設工業が登場します。」 一色は左側の最中を手にとった。 「マルホン建設工業。石川県の地元有力土建会社です。先代社長は現在の衆議院議員、本多善幸です。彼は土木建設業界出身ということもありその分野に関しては深い見識を持っています。またマルホン建設自体が公共事業を生業としていることから、省庁にも顔が利きます。本多は国土建設省の族議員として政界で活躍をします。政務次官や党の部会長などを経てその影響力を高め、国土建設省の政策決定に深く関与して来ました。…

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