55,12月21日 月曜日 11時30分 県警本部捜査一課

55.mp3 携帯電話の音がなった。胸元にしまってあるそれを取り出して、片倉は画面に表示される発信者の名前を見た。そこには古田登志夫の名前があった。 「おうトシさん。」 「片倉。なんやら次から次とどえらいもんが出てきたぞ。」 「そうか。ちょっと待ってくれ。」 そう言うと傍らの職員にしばらく離席する旨を伝え、彼は捜査一課から喫煙室へと移動を始めた。熨子山連続殺人事件の捜査本部は北署に設置されているが、県警本部との連携をとるために、ここにも連絡室なるものが設置されている。そのため県警本部全体もいつもより慌ただしく殺気立った雰囲気が充満していた。足早に歩く私服警官。県境を中心とした徹底した検問体制を敷く警備部。皆余裕が無い様子だ。 「で、どうした。」 「赤松と接触したんやが、あいつの父親が6年前に事故で死んどる。」 「で。」 「その事故がコロシじゃないかと一色がこっそり捜査をしとったようなんや。」 「おいおい待てよ。トシさん。また訳が分からんくなる情報やな。」 喫煙室の目の前に来た片倉だったが、そこで踵を返して別の方向に向かった。 「まぁ黙って聞け。お前、今どこに居る。」 「県警本部や。」 「そりゃあありがたい。片倉、ちょっくらそのまま交通安全部の資料室で当時の事故の調書見てくれんか。」 「そう言うやろうと思って、いまそこに向かっとる。」 「お前、天才やな。」 「まあな。で、どうなんや。」 「当時の一色が言うには、ブレーキひとつ踏まんと崖から転…

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